腸内フローラ研究所

腸内フローラ(腸内細菌叢)研究の発展

腸内フローラ(腸内細菌叢)研究の発展

腸内フローラ(腸内細菌叢)の研究は、近年急速な発展を遂げています。その発展をもたらしているのは、私達のヒトゲノム解析に関わっていた研究者たちです。
近年ヒトゲノムの解析が終了し、多くの研究機器が、腸内細菌の解析に時間を割けるようになってきました。
そのため、今までは同定が難しかった腸内細菌についても、最新の遺伝子解析技術の応用により、そのスピードを増したのです。

腸内フローラ研究の勃興

日本国内の腸内フローラ研究の第一人者である光岡先生は、1950年代にそれまで赤ちゃんの腸内にしかいないと考えられていたビフィズス菌を大人の体にいることを発見しました。

腸内細菌の培養方法の発展

光岡先生は、さらに腸内細菌の培養方法の開発も行います。1950年代当時、菌の培養においては、寒天培地と呼ばれる、培地を使って菌の培養を行っていましたが、ごく一部の菌しか培養することができません。
そこで先生は様々な栄養素を含んだ高栄養の培地を用いることで様々な菌の培養に成功しました。これが大人の腸内からのビフィズス菌発見につながったのです。

腸内細菌の同定方法の発展

菌が培養できるようになっても、今度は菌を分類する作業が必要です。様々な性質などによって、菌を分類し、同定作業をしていかなければなりません。砂粒よりもずっとずっと小さい細菌を培養したうえで、更に
それがどんな性質、働きを持っているかを調べ、分類しなければいけないのです。そこで先生は、この分類、同定作業の効率化を図るために、専用の装置の開発も行います。
これにより、短時間で分類、同定作業ができるようになったのです。

遺伝子解析方法の登場

光岡先生の功績により、多くの細菌が培養され、分類、同定が行われていったわけですが、まだまだ細菌の中には培養の難しいものもたくさんいました。
そこで登場するのが、遺伝子解析を通した、細菌の同定です。
これによって、培養可能な細菌は20から30%程度であることがわかり、腸内細菌にはより多くの細菌が定着していることがわかりました。

遺伝子配列解析の登場

遺伝子解析が行われるようになったとしても、次にまた、菌の分類、同定があります。
近年では、遺伝子配列解析(シークエンス)を行うための機会が登場し、さらに2000年代に入り、次世代型のシークエンサーというものが登場します。
ヒトゲノム解析プロジェクトに使われていたものです。
この機会を使うことで、細菌の分類、同定がさらに加速して行ったのです。

腸内フローラ(腸内細菌叢)研究の発展