腸内フローラ研究所

腸内フローラはどこにある?

腸内フローラは体のどこにあるの?

さて腸内フローラとは?で述べた通り、人間の体にはたくさんの細菌(常在細菌)が住み着いており、皮膚や、鼻の粘膜、小腸、大腸など様々な場所で暮らしています。中でも大腸の中に一番多くの細菌が住み着いており、それらのことを腸内フローラと呼んでいるのです。

食べ物が腸内フローラに届くまで

大腸の中?と言われてもピンと来ないかもしれません。
まずは、大腸がどのような臓器なのかについてお話したいと思います。

皆さんが食事をするとき、まずは口に食べ物を入れ、歯でよく噛みます。それを飲み込むと喉、食道を通って、胃に到達します。胃の中は、食前の空腹時には、PH1から2という非常に強い酸性になっています。

※参考
PH0・・・塩酸
PH2・・・お酢、クエン酸

胃の中の酸で溶かされた食べ物は、胃を出る直前に粘液によって、中性に戻されます。
※胃粘膜は酸性にも耐えられるような仕組みになっていますが、胃から先の小腸、大腸は胃の中のような強い酸性に耐えられません。胃の中の強い酸性は、タンパク質などを分解する役割などの他に、強酸性によって、細菌やウイルスなどを殺菌、滅菌する役割も担っています。

胃の幽門というところから、今度は、小腸の十二指腸に向かいます。
十二指腸では様々な消化酵素が分泌され、消化、分解が促進されていきます。
その後空腸、回腸などを経由して大腸に向かいます。
栄養素の殆どは、小腸を経由している間に体に吸収されます。
大腸に向かうのは、栄養分が吸収され残った食物繊維やカスなどです。

ここで少し小腸の話を。
小腸はおよそ7メートルほどの長さがあり、
その表面積を合計するとテニスコート1面分(最近ではバドミントンコート1面分とも言われます)と言われています。
これらの表面積を作ることで、栄養素の吸収を効率よく行っているわけですね。

腸内フローラの花咲く大腸

さて、いよいよ大腸です。
大腸に向かった栄養素を吸収されたあとの物質は、水分などを吸収され、本当のカスになっていきます。
すでに小腸で栄養素は吸収されてしまっているので、大腸では、栄養素の吸収はほとんどありません。

大腸自体の主な役割は、小腸から入ってきた物質から、水分を吸収し、排泄物へとしていくことですが、
この過程には24時間から72時間程度かかり、ここでトラブルが起こると、私達の排泄に大きな影響が出ます。
水分の吸収が遅ければ下痢になったり、蠕動運動(ぜんどううんどう、便を徐々に排泄に向けて動かす動き)が鈍れば、便秘になります。
ストレス過多な状況が続いたり、食べ過ぎ、飲み過ぎがあったりすると、この大腸の動きに異変が生じ、体に影響が出ます。

この大腸に、たくさんの細菌たちが住み着き、腸内フローラ(腸内細菌叢)を形成しているわけですが、
下痢などをして全部が排出されてしまうことはないのか?と疑問に思うところだと思います。
確かに便の3分の1は腸内細菌です(これは後述します)。ほぼ毎日便の3分の1を占める腸内細菌が排出されてしまうわけですから、
それ以上の数の細菌がどこかに留まっていなければなりません。
その腸内細菌たちは、大腸のどこに住み着いているのでしょか?

腸内細菌たちの住み着く場所

小腸を含めた腸内には、腸管を覆うようにムチンと呼ばれる粘液層に覆われています。
このムチン、ネバネバの物質で、うなぎなどのヌメヌメや、山芋、里芋のヌルヌルなどもこの物質です。
細菌たちはこのムチンの中に隠れているのです。

このムチンの中に入れるのは限られた細菌のみであり、
簡単にはこのムチンの中に入り、定住することは叶いません。
これには、優れた取捨選択の機能が備わっているのですが、これはまた後述したいと思います。

腸内フローラは、どこにあるのか?という問いに対する答えとしては、
腸、主に大腸の腸管を覆っているムチン(粘液層)にある、ということになります。

NEXT>腸内フローラ(腸内細菌叢)の種類

腸内フローラはどこにある?