腸内フローラ研究所

世界ふしぎ発見!でも紹介。美肌、健康で注目の腸内細菌

2016年3月19日放送のTBS系列「世界ふしぎ発見!」で腸内細菌のことが取り上げられていましたので、
そこで紹介されていた腸内細菌を活性化する食材などを紹介したいと思います。

今注目の腸内細菌とは?

アンチエイジング、美肌、うつ病などを始めとした精神疾患。
これらに共通することとは何でしょうか

最新の研究で、これらに共通して影響を及ぼしているのが、
私達の体の中に住む腸内細菌ということがわかってきました。

腸内細菌とは私達の主に大腸に住み着く腸内常在菌のことで、
近年では腸内フローラ(腸の中で細菌たちがお花畑のように繁栄している様から名付けられた)とも呼ばれています。

私達の腸内には、その数およそ100兆とも言われる細菌たちが住み着いており、
その重さはなんと1.5キロから2.5キロとも言われています。
私達の体で一番重い臓器が脳と言われていますが、それでも1.5キロ程度ですから、
同じ程度以上の重さの細菌たちが住み着いています。
そのため、研究者の間では、隠れた臓器とも言われ、
私達の体に様々な影響を与えています。

美肌になる?日本人に馴染み深い食べ物とは?

私達の体の中にいる腸内細菌たちは、私達の体とうまく共生関係を築いています。
腸内細菌は、私達の体では生成できないビタミンを産生してくれたり、
または外部から侵入した毒素や悪い細菌たちを追い払うような役割も持っています。

さて、それでは、この腸内細菌と美肌の間にはどのような関係があるのでしょうか?

最新の研究においては、ある特定の腸内細菌が産生するエクオールという物質が、
肌のシワやくすみなどを抑制する効果がわかってきました。

このエクオールという物質は、元々は大豆イソフラボンの研究から発見されたものです。
大豆イソフラボンは一時女性ホルモンと同じような働きをして、
アンチエイジングや美肌になるということで話題になった食品ですが、
この大豆イソフラボン、実は多くの人は、その効果をうまく活用できていない状況でした。

大豆イソフラボンにはいくつかの種類がありますが、
この中のダイゼインというものが、本来の効果を発揮するのですが、
このダイゼインをうまく活用できない人がいます。

それは、ある特定の腸内細菌がいないことによります。

ある特定の腸内細菌はダイゼインを分解してエクオールという物質をつくりますが、
この腸内細菌がいるのは、日本人の約半分程度で、欧米人は約3割程度におさまると言われています。
主に大豆由来の食品をよく食べる地域では多い傾向が見られています。
この腸内細菌自体がいるかいないかについては、簡単な検査で調べれれるようになっていますが、
いないからといってあきらめないでください。
最近の研究では、この腸内細菌がいなかったとしても、
大豆由来の食品を摂り続けることで、徐々にこの腸内細菌が増えたという研究結果も出ています。

さてそれでは、このダイゼインを多く含む食品とはなんでしょう?

・・・・
答えは「葛」です。

葛は、マメ科の植物で、
くず餅などに使われる葛の根にはたくさんのダイゼインが含まれています。

日本では昔からくず餅や葛湯などで親しまれているので、
スーパーなどでも簡単に手に入りますね。

ぜひ、お肌の状態が気になるようであれば、
朝一番に葛湯から初めて見る、なんていうのもいいかもしれませんね。

ブルガリアに伝わる健康長寿の発酵食品

ブルガリアといえば、乳酸発酵食品の代表であるヨーグルトが有名ですが、
これ以外にも健康長寿をもたらすと言われる発酵食品があるのです。

ヨーグルトも腸内細菌の活性化には非常によい食品なので、
少し脱線してご紹介。

腸内細菌のうち有益な菌の多くは乳酸菌です。
ヨーグルトも乳酸菌を多く含みます。
赤ちゃんのうんちのほとんどは乳酸菌で構成されていますが、
大人になるにしたがって、約2割程度を構成する割合で安定します。
ヨーグルトは、乳酸菌を直接摂取できるだけではなく、
この乳酸菌が便になる過程において産生される物質によって、
免疫細胞が正常に機能するように働いてくれたり、
または、他の悪い細菌が繁殖するのを抑えてくれたりしてくれます。

さて、このブルガリアに伝わる発酵食品、冬の野菜不足を補うために、
昔から食べられていたのですが、その名もキセロ・ゼレ。

実はこれ、キャベツの漬物なのです。

作り方は至って簡単。材料は、
・キャベツ
・水
・塩
のみです。

あとは、天然の乳酸菌が発酵を担ってくれます。

1日に一回中の塩水の入れ替えが必要とのことですが、
現地では下に蛇口のついた専用の容器を使って、簡単に入れ替えできるようにしています。

日本ではキャベジンという二日酔い、胃腸の不快感などに効くキャベツ由来成分(ビタミンU)の薬がありますが、
この漬物の際に出る塩水も、現地では二日酔いに効くとされているそうです。

味はドイツのザワークラウトなどよりもさっぱりとして、酸っぱさの際立った感じです。
ヨーグルトと同じように乳酸菌を多く取り入れられる上、
胃腸炎に効くとされるビタミンUが豊富で、
さらに腸内細菌のエサともなる食物繊維が多く含まれるということで、
まさに健康長寿には持って来いの食材ですね。
ただ、塩分濃度が高くもあるので、食べ過ぎには注意したいところですね。

長野県木曽地方に伝わる花粉症に効く?発酵食品

次は春にはみなさんお困りの花粉症に効くと言われている、発酵食品です。
腸内細菌を整えることで、花粉症やアレルギー症状が緩和されるというのは、
近年の研究で明らかになってきていますが、この発酵食品も、
腸内細菌の活性化に一役買っているようです。

この食品は、長野県の木曽地方に伝わる漬物なのですが、
この食品が注目されるようになったのは、
この地方の花粉症患者の割合が低いことがきっかけです。

さて、この食品の名前は「すんき」です。
なんとも不思議な名前ですね。
由来は「酸っぱい茎」「すぐき」「すくき」などのようです。
文献上は約300年ほど前から登場し、古くからこの地方で食べられていたものです。

実はこの「すんき」、漬物と言ってもある特徴を持っています。
それは塩を使っていないということです。
ブルガリアの「キセロ・ゼレ」は水と塩だけでしたが、
この「すんき」はさらに材料が減ります。
作り方は、
・葉っぱの追加赤かぶを少し根の部分を残し切る
・葉っぱの部分を軽く湯通しして別の容器に移す
・前年のすんきを加えて、40から50度に冷ました煮汁を加える、密封する
・一晩寝かせる
のみです。

本当に乳酸発酵のみですね。
このすんきには、非常に多くの乳酸菌が入っていて、
その数なんと50種類以上ということです。
すんきから見つかってすんき由来の名前のついた乳酸菌もいるぐらいです。
これらの乳酸菌を摂取することで、腸内細菌を整えたり、
また、これらの産生物が免疫系を正常化してくれた結果として、
花粉症の改善につながっているようです。

このすんきは、現地では、おそばに乗せたり、鍋にしたりして、食べているようです。

うつ病・認知症改善にも繋がる?甘酒パワー

さて次は、腸内細菌を整えることで、
うつ病や認知症の改善にもつながっているというお話です。

お腹の中の話が、まさか脳に関係する精神疾患などに効く、というとなんとも不思議ですね。

ただ、生物学者からすると腸というのは、
第二の脳とも言われており、腸内環境が私達の脳に様々な影響を与えているということです。
実は脳のない生物は存在するのですが、腸のない生物は存在しないのです。
原始生物は腸で何かを考えていたのかもしれません。
同じように私達の腸には脳とのホットラインが築かれており、
腸内で起こっていることはすぐに脳に伝達されているということがわかっています。

このように腸内で起きていることは、脳に直接伝達されているわけですが、
腸内の環境が良くないと、同じように脳に対して良くない影響を与えているようです。

番組では鬱病患者に対して、乳酸菌とビタミンのサプリメントが処方された結果、
鬱病が改善したということが紹介されていましたが、あながち間違いではないと思います。
この患者さんは、検査の結果、腸内細菌の多くを占める乳酸菌の一種がいないことがわかったため、
乳酸菌とビタミンのサプリメントを処方されたようです。
腸内にいる乳酸菌は食物繊維をエサとしてビタミンの合成などを担っていますが、
これらの細菌がいないことにより、効率的にビタミンの摂取が行われず、
また腸壁の修復、再生に対してのこの腸内細菌の産生物が影響を与えているため、
腸壁がうまく修復、再生できない、つまり腸内細菌が定着しない、栄養不足になる、
というスパイラルが起こっていたのだと思います。

また、別の認知症患者については、甘酒を摂取してもらうことで、
認知症の症状が緩和されたことが紹介されていました。

甘酒は大きく2種類あるのですが、
今回紹介されていたものは、麹発酵による甘酒だと思います。
アルコール成分が入っていないため、高齢者の方にも飲みやすいと思います。
また、麹発酵による甘酒は、砂糖を使わずにほんのり甘いので飲みやすく、
さらに食物繊維、オリゴ糖が豊富に含まれています。
これにより腸内細菌が活性化され、脳によい影響を与え、
さらに便通なども期待できます。

まとめ

ブルガリアの発酵食品や日本のすんき、甘酒など、
私達の周りには発酵を利用した食品が数多くあります。

これらの発酵食品をうまく食事に取り入れることにより、
アンチエイジング、美肌、健康長寿、さらには精神疾患、脳神経疾患なども改善される、
ということがわかってきました。
ぜひとも日頃から私達とともに共生している腸内細菌をいたわり、
共によい環境を築けていればいいですね。

世界ふしぎ発見!でも紹介。美肌、健康で注目の腸内細菌