ダイエットの新常識!痩せる太るも私達の同居人次第!?

なかなか痩せられない、何度ダイエットにチャレンジしてもリバウンドしてしまう。
旦那さんと同じ食事をしていても私だけ太る。
あんなに食べているのにあの人が痩せているのはなぜ?
ダイエットに関する疑問は尽きることがありませんね。

さて、そんなダイエットに新常識があることはご存知ですか?

昔から痩せやすいタイプと太りやすいタイプがいることはなんとなく知っていたと思いますが、
遺伝的なこと、食事の習慣、生活習慣などによるものと考えられてきました。
もちろんこれらの要素は太りやすさや痩せやすさを決める上で重要なことではありますが、
それ以外の要素もあるということが、近年の研究によって明らかになってきました。

今回は、この新たに発見された太りやすさ、痩せやすさの新常識をご紹介したいと思います。

目次

  1. 私達のお腹にいる同居人の正体とは?
  2. 腸内フローラが私達の体に与えている影響
  3. 腸内フローラには痩せ型と肥満型がある
  4. 肥満型の腸内フローラは変えられない?
  5. 肥満型の腸内フローラを痩せ型の腸内フローラに換える方法

1.私達のお腹にいる同居人の正体とは?

私達のお腹には、地球上にいる人類の数を超える同居人が住んでいることはご存じですか?
地球にいる人類が約60億人から70億人ですから、相当な数に間違いありませんが、
実は私達のお腹の中には、100兆を超える生物が住んでいます。
それらは腸内細菌と呼ばれ、500種類を超えると言われる細菌たちがおり、あたかもたくさんの種類の植物たちが繁栄する森や草原のような状況となっています。
研究者の間では、英語で植物相を表すflora(フローラ)と名付けられ、腸内フローラと言われています。
お腹と一口にいっても、胃や小腸、十二指腸、大腸などさまざまな臓器があるのですが、
この細菌たちは主に大腸の中に住んでいます。
それでは、この細菌たちは私達の大腸の中に住み着き、何をしているのでしょうか?

2.腸内フローラが私達の体に与えている影響

腸内フローラを構成する細菌はまだ正確な数字はわからない上、一人ひとり、持っている細菌の種類が異なるため、
正確な数やどんな種類がいるのかは明らかになっていません。
ただし、数の多い細菌はわかっていてヨーグルトなどでもお馴染みのビフィズス菌や、なんとなく悪さをしそうなイメージのある大腸菌などです。

善玉菌

みなさんは善玉菌や悪玉菌という名前を聞いたことがあるかもしれません。
善玉菌の代表といえば、ビフィズス菌や乳酸菌などです。
乳酸菌といえば、あの有名な飲み物「ヤクルト」でもおなじみですね。
善玉菌はその名前の通り、私達人間にとって有用な菌といえます。
例えば、私達の食べた食べ物の残りカス(大腸に届く頃には多くの栄養素が吸収されている)を食べて、
そこから、ビタミンを合成したり、消化吸収を助けたりしてくれています。腸壁の修復にも関わっています。

悪玉菌

悪玉菌の代表は、大腸菌やウェルシュ菌、ブドウ球菌などが代表です。
悪玉菌という名前の通り、悪さをする菌というイメージですが、主に肉類の消化を助けてくれたり、細菌の研究では、有害な細菌の定着を防止してくれたりもします。
ただし、この悪玉菌が増殖するような腸内環境になると、肉類を分解する際に、アンモニア、硫化物、アミンなどの有毒な物質を発生させ、私達の腸内環境に悪影響を与えます。
私達の腸内は普段弱酸性に保たれており、外部からはいった細菌の増殖を抑えることにつながっていますが、
この悪玉菌たちが増殖するとアルカリ性に傾き、有害な細菌たちも繁殖できるような環境となってしまいます。

日和見菌

実は善玉菌、悪玉菌以外にも日和見菌(ひよりみきん)という種類があり、
普段は特にこれといった目立った働きはしていませんが、
善玉菌が優勢なときは善玉菌の増殖を助ける物質を出したりしてよい環境づくりに協力します。
悪玉菌が優勢なときは悪玉菌の増殖を助ける物質を出して、悪い環境づくりに協力します。
それぞれの割合は、健康な人の腸内で、善玉菌2割:悪玉菌1割:日和見菌3割となっています。

腸内細菌たちは私達にいろいろな影響を与えている

このように腸内細菌は私達の消化吸収を助けてくれたり、有用な物質を産生してくれたり、さまざまな働きをしてくれています。
これ以外にも最近の研究では、美肌を作る物質を産生する菌や、アレルギーを抑制する物質を産生する菌や、
うつなどの精神疾患を抑制する物質を産生する菌などが存在することがわかってきています。

3.腸内フローラには痩せ型と肥満型がある

私達の体の中には、さまざまな細菌がいて、いろいろな働きをしてくれていることをお伝えしました。
いよいよ本題です。
細菌の研究で、私達の体の中の腸内フローラには、
痩せ型、肥満型の腸内フローラというものがあることがわかってきました。

痩せ型フローラと肥満型フローラ

2005年米国ワシントン大学のゴードン博士らの発表によりますと、
無菌マウス(腸内細菌の存在しない実験用マウス)と通常のマウスに、肥満に繋がるような高エネルギー食を与える実験で、
腸内細菌のいる通常マウスは肥満が進行し、腸内細菌のいない無菌マウスでは、肥満が進行しないことを発見しました。

続く2006年の科学雑誌「ネイチャー」上に、肥満型の人と、痩せ型の人で、その腸内細菌に明らかな違いがあること発表されました。
肥満型の人の腸内フローラでは、バクテロイデーテス類の細菌が少なく、ファーミキューテス類の細菌が多いことがわかりました。
さらに肥満型の人が食事療法を行うことで肥満が解消されると、この腸内細菌の違いもなくなったということです。

さらに2013年の発表では、肥満型の腸内フローラを持ったマウスとそうではない通常の腸内フローラを持ったマウスでは、
同じ食事をしたとしてもその栄養素の吸収に違いがみられ、
同じ食事をとっていても、肥満型の腸内フローラを持ったマウスのほうが、より多くの栄養素を吸収していることがわかりました。

これらの実験によりゴードン博士らは、
「ファーミキューテス類の腸内細菌は、肥満を促進し、バクテロイデーテス類の腸内細菌は肥満を抑制している」と主張しています。
まだ腸内細菌の全容は解明できていない状況ではありますが、
これらの実験からみるに、腸内細菌が肥満や痩せ型に影響を与えていることは、ほぼ間違いないと思われます。

今後は、さらに研究が進み、具体的にどの細菌がどのように働き、
またそれが私達の肥満と痩せ型にどのように関わってきているのがか解明されるものと思います。

腸内細菌の作る短鎖脂肪酸が肥満を抑制する?

さらに最近の研究では、腸内細菌が作る短鎖脂肪酸などが、肥満に関して重要な役割を担っていることが明らかになってきました。
東京農工大学の木村教授の研究によると、私達の腸内フローラでは、炭水化物などから、酪酸、酢酸などの短鎖脂肪酸を産生し、
その短鎖脂肪酸が私達の腸管内にある受容体(ある物質と結合して抑制、促進などの指示(情報伝達物質)を出す器官)と結合して、
食欲を抑制するホルモンを分泌し、さらに、交感神経が活発になりエネルギー消費を増大させるというものです。
この短鎖脂肪酸は、主に腸内細菌が食物繊維を分解することで発生することがわかっています。

4.肥満型の腸内フローラは変えられない?

ゴードン博士の研究にもあるとおり、元々肥満体質の人が、食事療法を行うことで、
腸内細菌が肥満型のフローラから痩せ型のフローラに変化したということことです。
つまり私達の腸内フローラは食事とともに変化し、
肥満型の腸内フローラから痩せ型の腸内フローラに変化させることも可能なのです。

5.肥満型の腸内フローラを痩せ型の腸内フローラに換える方法

まだ実現が遠い便移植法

いま現在進行形の研究では、肥満型の腸内フローラマウスから極力腸内細菌を追い出し、
通常型または痩せ型の腸内フローラを移植するといったものが進んでいます。
一部の実験では、この便移植により肥満型から痩せ型の腸内フローラに変化したという研究成果も発表されています。
ただしこの便移植については、まだまだ人間に適用するには、長い道のりが必要です。
そもそも腸内細菌のうちその存在が確認されているものが7割程度であり、
残りはどういった細菌がいて、どういう働きをしているのかすらわかっていません。

ある人の腸内ではなんの問題を起こさなかった細菌が、違う人の腸内に入ることで悪さをするということも考えられるため、
まだこの便移植自体は、研究途上といえます。

肥満型を痩せ型フローラに変えるには食事療法しかない

結論からいえば、現在の研究、医学では、肥満型の腸内フローラから、痩せ型の腸内フローラにするためには、
食事療法しかありません。
ダイエットとというと、一般的に食事制限を行うことのように言われていますが、
腸内フローラを改善するという観点からいえば、食事制限を行うことだけが解決方法ではありません。
もちろん、元々食べ過ぎの高エネルギーな食事をしているかたは、その食事量を見直す必要がありますが、
ローカーボダイエットや、ボクサーの方々がやるような高タンパク、低食物繊維の食事はお勧めできません。

かといって、一部の食事をりんごに変えてみるとか、ご飯をキャベツに変えてみるといった、
一部の食事を換えるダイエットについてもお勧めしません。

肥満型を痩せ型フローラに変えるおすすめの食事法

実は私達の身近な食事が肥満型の腸内フローラを痩せ型の腸内フローラに変える、切り札になります。

日本人だけが持つ腸内細菌

私達日本人の多くが、世界の中で唯一とも言える、独特な腸内細菌を持っています。
それは、海藻類を分解できる腸内細菌です。
世界の多くの地域では海藻を食べる習慣はほとんどなく、
この海藻類を分解できる腸内細菌も日本人や一部の中国人、韓国人などにしか見られません。
そのため、この腸内細菌を持っていれば、
海藻類に含まれる食物繊維を分解し、痩せ型フローラに繋がるような食生活が送れるのです。
海藻類は、食物繊維豊富な食べ物で、特に水溶性食物繊維が豊富なことでも知られています。
食物繊維は水溶性と不溶性のものとがあり、
それぞれをバランスよく(不溶性2:水溶性1)摂取することが重要ですが、

それぞれの含有量が豊富なものを紹介しておきます。

不溶性食物繊維が豊富な食べ物

・イモ類
・穀物類
・きのこ類
・野菜類
・豆類

水溶性食物繊維が豊富な食べ物

・海藻類
・こんにゃく
・きのこ類
・くだもの(熟したもの)
・野菜類

肥満型を痩せ型フローラにする食事メニュー

さてそれでは、肥満型の腸内フローラを痩せ型の腸内フローラにするための食事メニューと食事法をご紹介します。

食事メニューとしては、日本人の朝食として馴染み深い、以下のメニューをご紹介します。

・白米
・わかめと豆腐とおあげの味噌汁
・塩鮭
・生卵、または卵焼き
・小松菜のおひたし、菜の花のおひたしなど
・たくあん
・味付け海苔
・納豆

これらの食事は、豊富な食物繊維と、植物性タンパク質、動物性タンパク質を同時に摂取でき、
かつ低カロリーな食事になっています。
毎日、こういった食事をするということは非常に難しいとは思いますが、
普段の食事に味噌汁は必ず食べるとか、納豆を一品加えてみるとか、豆腐を加えてみるとか、
普段の食事プラスアルファでどうやって食物繊維を摂取できるかを考えてみてください。
ご飯やパンなどの主食については、糖類などのエネルギー摂取には効率的ですが、
より多くの食物繊維を摂取するという観点でいえば、
ご飯やパンの量を増やすことは現実的ではないですし、高カロリーな食事になってしまいます。
いつものご飯を半分にするか、玄米や穀類を含んだご飯にするなども有効です。
また減らしたご飯の分、1品でも野菜や漬物を食べるといったことでもいいかもしれません。

ダイエットするなら腸内フローラ改善から!


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