便秘を治したい!便秘にはやっぱり食物繊維が一番いい!?

便秘はつらいですよね、薬を飲んだり、硬水を飲んでみたり、マッサージをしてみたり、
いろいろやってもなかなか改善されないという人も多いと思います。

そういう方にこそ、少し視点を変えて、便秘改善に向けた腸活に取り組んでみてはいかがですか?

そもそも便ってなんだろう?

便秘のお話をする前に、まずは便はどういったものなのかをしっかり理解していきましょう。

便=うんちですが、食べ物のカスだと思っていませんか?
実は、便の中に含まれる食べ物のカスは、1割にも満たないのです。
健康な人の便の約8割は水分で、残りの2割のうち、約3割ちょっとが消化しきれなかった食べカス、
その他の約半分は剥がれ落ちた腸粘膜、残りが腸内細菌です。
腸粘膜は私達の皮膚などと同じように日々新陳代謝によって、古くなったものは剥がれ落ちて、
便とともに排出されます。
どうですか?実は便というのは、そのほとんどが水分で、
食べ物のカスというのは非常に少ないということがおわかりいただけたでしょうか。

さて、ここで登場してきた腸内細菌が今回の便秘改善に向けた腸活の主役です。
それでは、腸内細菌と便秘はどのような関係があるのでしょうか?

よい便づくりには、腸内環境を整えよう

私達の腸内にはたくさんの細菌たちが住み着いています。
実はこの細菌たちが、私達の便づくりのために活躍してくれています。
腸内環境を整えるには、まず、この細菌たちが活躍しやすい環境を作ってあげることが重要です。

腸内細菌については、この辺りを参考にしてください。

この細菌の中でも特に善玉菌とも呼ばれているビフィズス菌などをきちんと活性化することが重要です。

ビフィズス菌などはヨーグルトを始めとした発酵食品でも知られている菌です。
キムチなどは乳酸発酵ですし、お酢などでは酢酸発酵などが知られています。

腸内細菌にはこれらの他にもウェルシュ菌などを始めとした悪玉菌と呼ばれる細菌もいるのですが、
これらの細菌は発酵ではなく腐敗を担っています。
腐敗と聞くとなんとなく嫌なイメージがあると思いますが、
私達の体の中でも起こっているのです。

よく便がものすごく臭いといった場合にはこの腐敗の活動が活発化しています。

善玉菌たちのエサは主に食物繊維です。
悪玉菌たちのエサは肉類を始めとしたタンパク質やアミノ酸です。
発酵も腐敗も共に、この細菌たちがこのエサをエネルギーに変える活動の名称です。
善玉菌が食物繊維を食べると酢酸や酪酸などの短鎖脂肪酸が生成されます。これも細菌たちの便でもありますが。
悪玉菌がタンパク質を食べるとアンモニアや硫化物などが生成されます。

もちろん細菌たちも食べ物が乏しくなってしまえば元気がなくなるわけですから、
善玉菌を活性化するには、食物繊維をたくさんとって、肉類を控えるといったことが重要になります。

さてそれではなぜ善玉菌を活性化することが腸内環境を整える上で重要なのでしょうか。

腸内環境正常化のカギを握る善玉菌

善玉菌は食物繊維を食べると、短鎖脂肪酸などを産生すると述べましたが、
腸内環境の正常化においては、短鎖脂肪酸が有用な働きをします。
短鎖脂肪酸は近年の研究で明らかになってきたもので、短鎖脂肪酸は大腸の粘膜の栄養になったり、
短鎖脂肪酸=酸性なので、腸内が酸性に保たれ、便を押し出す蠕動運動が促されます。

もし善玉菌の元気がなくなり、悪玉菌が活性化されてくると、腸内がアルカリ性に傾きます。
そうなると悪玉菌はアルカリ性の環境を好むため、さらに悪玉菌が活性化するということになります。
悪玉菌の中には、有害物質を産生するもののいるため、悪玉菌が活性化されてくると、体調不良などが起こります。

食物繊維には種類がある

さて腸内環境の正常化のためには、善玉菌のエサとなる食物繊維を摂取することが重要とお話しましたが、
食物繊維と言われるものには種類があることはご存知ですか?

・不溶性食物繊維
・水溶性食物繊維

字で読んでその通りなのですが、
不溶性とは、水に溶けにくい、水溶性とは水に溶けやすい食物繊維です。

不溶性食物繊維は、消化されずにそのまま大腸に届くため、便のかさましになったり、腸管内の腐敗物質などが排出されやすくなります。
水溶性食物繊維は、腸内の水分でゲル状になるため、ゆっくりと消化管を進み栄養の吸収をゆっくりにし、余分な糖や脂肪を排出されやすくします。

どちらも腸内環境にとっては有用です。

それでは不溶性、水溶性それぞれどんな食品に含まれているのでしょうか?

まずは不溶性

不溶性食物繊維を含む食品

・イモ類
・穀物類
・きのこ類
・野菜類
・豆類

日本人に馴染み深い、大豆をはじめとする豆類は、不溶性食物繊維が非常に多く、
大豆を利用している味噌や納豆などにおいても高い傾向にあります。

それ以外では、最近テレビなどでも注目されている酒粕(甘酒など)も多い傾向にあります。
酒粕は甘酒に利用されるなど、日本人にとって非常に馴染み深い食べ物です。
今でこそ冬の定番になっていますが、昔は夏場の夏バテ予防などに使われていました。
甘酒は塩と砂糖などが含まれ、現在の経口補水液(os-1など)にも近い成分になっています。
そればかりでなく、酒粕自体には麹菌が含まれますし、食物繊維も豊富、さらにビタミン類も豊富です。
なかなか一度に多く摂取することは難しい飲み物ではありますが、
日々の栄養補助のために飲用するというのは非常によいと思います。

その他ではきのこ類も不溶性食物繊維が多い傾向にあります。
先ほどの味噌などとも相性がよいので、
きのこの味噌汁などは、不溶性食物繊維を摂取するのにとても有効です。

水溶性食物繊維を含む食品

・海藻類
・こんにゃく
・きのこ類
・くだもの(熟したもの)
・野菜類

水溶性食物繊維を多く含む食べ物の代表といえば、やはり海藻類です。
食物繊維を摂ろう!〜意外と知らない食物繊維〜
引用元「食物繊維を摂ろう!〜意外と知らない食物繊維〜 大塚製薬」

大塚製薬の成分表を参考にしてみると、水溶性と不溶性の分類がなく総量表示になっていますが、
海藻類は水溶性と不溶性の分析が非常に難しいため、総量表示になっていることが一般的です。

海藻類の食物繊維の総量をみても、他の食品と比べ非常に多くなっていることがわかると思います。

海苔やわかめを始めとした海藻類は消化に悪いという話を聞いたことがありませんか?
そもそも人間は食物繊維を消化することはできません。
牛などは複数の胃を持ち、反芻することで食物繊維を消化しています。
実際海藻類は、100g当たりの食物繊維含有量が多く、たくさん食べ過ぎると、
結果として食物繊維の摂取量が増え、多くの食物繊維は消化されないまま排出されてしまいます。
それだけたくさんの食物繊維が含まれているということです。

日本人だけが持つ海藻を分解する腸内細菌

さて、私達日本人にとって馴染み深い海藻類ですが、
日本以外の国では海藻を食べることは一般的ではないことはご存知ですか?
日常的にたくさんの種類の海藻類を食べている民族は日本人以外にはまずいません。
海苔などは、韓国などで韓国のりとしてよく食べられていますが、
日本人は、昆布、海苔、わかめ、もずく、めかぶ、ひじき、寒天、アオサ、
地方に行けば、最近注目のアカモク(秋田などではギバサともいう)や、沖縄では海ぶどうなどが食べられています。
その種類も豊富なうえ、食べる頻度も高いため、
まず間違いなく海藻類を最も食べている民族は日本人に違いありません。
そのおかげかはわかりませんが、世界で唯一海藻類を消化できるのも日本人のみです。
日本人は、非常に昔から海藻類を日常的に摂取してきたため、
いつの間にか、私達の腸内には、この海藻類の食物繊維を分解できる腸内細菌が住み着くようになりました。
この腸内細菌バクテロイデス・プレビウスという名前ですが、この細菌自体は外国人の腸内にも存在しています。
日本人の腸内にいるバクテロイデス・プレビウスだけが海藻を分解する遺伝子を持っているのです。
長い間海藻を食べ続けたことにより私達の腸内細菌もその環境に適用しようとし、
もともと海藻を分解できる細菌の遺伝子を取り込んでいったのではないかとも言われています。

細菌が遺伝子を獲得する仕組み
遺伝子の水平伝播

便秘には不溶性、水溶性食物繊維の両方を摂取することを心がける

このように私達日本人にとって、食物繊維を摂取できる食べ物は、普段の食事にあふれています。
それでも近年の日本人は食物繊維不足と言われています。
今回の情報などを参考に、普段の食生活から積極的に食物繊維を摂取するようにしましょう。
不溶性、水溶性食物繊維の両方を効率よく摂取することで、
私達の腸内細菌のエサが増え、かつ腸内の蠕動活動を活発化し、
さらに豊富な食物繊維で便のかさ増しにもなります。

食物繊維が多く、腸内細菌に優しい料理とは

さて次に、食物繊維が多く、腸内細菌に優しい料理をご紹介しておきましょう。

結論から言ってしまえば、温泉旅館などで出てくる朝食メニューです。
では、メニューの中身を見ていきましょう。

まず
・白米
次に
・わかめと豆腐とおあげの味噌汁
そして
・塩鮭
・生卵、または卵焼き
・小松菜のおひたし、菜の花のおひたしなど
・たくあん
・味付け海苔
・納豆

どうでしょう?
私達日本人には馴染み深い朝ごはんのメニューではないでしょうか?

それぞれの中身を見ていきます。
食物繊維が摂取できるものは、白米、味噌汁、おひたし、たくあん、海苔、納豆などの野菜、穀物、海藻類。
タンパク質は、塩鮭、卵、納豆、味噌汁などの動物性タンパク質、植物性タンパク質。
これらが一度の食事で摂取できます。
これであれば食物繊維も水溶性、不溶性ともに多く摂取できますし、
低カロリーでタンパク質も摂取できます。
昔からの日本の食事というのは、よく考えられているものですね。

便秘対策には食物繊維豊富な日本食!

便秘対策には、食物繊維が重要だということをお伝えしてきましたが、
腸内細菌を活性化させるためには、たまに体によい食事をするということではなく、
普段の食生活から見直すことが必要になります。

海藻を分解できる腸内細菌を獲得した話にも通じますが、
普段の食事の積み重ねの結果が、健康な腸内細菌なのか、そうでないのかを決めています。

一時的に健康的な食事をしたとしても、
その他の生活が健康的でなければ、私達の腸内細菌は、
悪玉菌の活性化した、悪い腸内環境へと変わってしまいます。

自分の体ではありながら共生している腸内細菌を慈しむように、
普段の食事から気をつけ、便秘の改善、さらには健康的な生活を目指してみてください。

便秘を治したい!便秘にはやっぱり食物繊維が一番いい!?


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