腸内フローラにいる細菌の役割

腸内フローラが善玉菌、悪玉菌、日和見菌によって構成されていることは、ここで触れました。
さて、腸内フローラは人間の中に住み着く細菌ですが、その役割はどのようなものがあるでしょうか?

善玉菌の役割

まずは、善玉菌。

善玉菌と聞くと、善い行いをしてくれる細菌という風に思いますね。

実際、善玉菌たちは、以下のような役割を担い、私たちの体にとって有益な働きをしてくれています。

1、ビタミン類の合成
2、免疫力の向上
3、消化・吸収
4,酪酸、乳酸、酢酸の生成

善玉菌たちは、腸内に入ってきたものの中にある、糖類を分解して、
酪酸、乳酸、酢酸などを生成します。
これらの成分により、腸内はやや酸性の状態が保たれており、
外部から入ってきた細菌、ウイルスなどは、これらの酸により死滅します。
またウェルシュ菌を始めとした悪玉菌の増殖を防ぐ役割を担います。

また善玉菌たちは、ビタミン類の合成にも関わっています。
ビタミンB群は、エネルギーの代謝に関わり、
ビタミンKは、血液凝固や骨の形成などに関わっています。

善玉菌が糖類を分解していくことは、いわゆる醗酵となります。
お酒や漬け物、ヨーグルトなどもこの醗酵の力によってできています。

悪玉菌の役割

次に、悪玉菌。
悪玉菌と聞くと、善玉菌とは反対で、体にとって悪いことをする細菌という風に思いますね。
細菌の研究では悪玉菌も、人間にとって、よい役割を担っており、単純に悪、という捉え方ができなくなってきました。
悪玉菌たちの主な役割は、以下のようなものです。

1、タンパク質の分解(腐敗)
2、外部細菌の除外
3、発がん性物質の生成

悪玉菌たちは、善玉菌と同じように、腸内に入ってきたものの中にあるタンパク質を分解します。
タンパク質は、ご存知の通り人間の体を構成する大事な栄養素であり、
それらの吸収を助ける働きを悪玉菌が担っています。

また悪玉菌たちは、外部から入り込んだ有害な物質、細菌、ウイルスなどの除去にも一役かっています。
私達の体には、毎日多くの細菌やウイルスなどが入り込んできます。
多くの場合は胃の中の強酸性の中で死滅してしまいますが、
小腸、大腸まで到達する場合もあります。
この時に、腸内に留まって、居座られては困ってしまいます。
そこで、悪玉菌たちは、これらを除外する働きをしてくれています。

一方で悪玉菌たちは、タンパク質を分解する際に、善玉菌とは異なり、
腐敗によって分解します。
この時に、排出される物質がアンモニア、硫化物などであり、
私達の体にとっては、がんの発生原因となるような、有害物質となります。

これ以外にも悪玉菌が優勢となると、腸内がアルカリ性に偏り、
便秘や下痢の原因にもなってきます。

日和見菌の役割

次に日和見菌。
日和見菌については、腸内細菌の約7割を占めているものの、今のところ、
有用な役割が発見されていません。
善玉菌が優勢なら、善玉菌を助ける役割をし、
悪玉菌が優勢なら、悪玉菌を助ける役割をしています。

ただし、この菌とこの菌が生成する物質がなければ、この菌は元気よく増殖できない、
といった菌同士の共生関係も明らかになってきており、これは善玉菌、悪玉菌同士にも言えますが、
腸内フローラはそれぞれがそれぞれに影響しあって存在しており、一つの町(お店があって農家があって、農耕器具を作る職人がいてのような関係)を掲載しているようです。
今後さらに研究が進むことによって、日和見菌の中から、その有効性を認められる菌が発見されるかもしれません。

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腸内フローラ(腸内細菌叢)の役割


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